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『マイ・ファニー・レディ』──エルンスト・ルビッチさまの御威光で(笑)(★★★★★) [映画レビュー]

『マイ・ファニー・レディ』(ピーター・ボグダノヴィッチ、2014年、原題『SHE'S FUNNY THAT WAY』


 


 本作は、全編、アメリカ映画が本来の映画的おもしろさを持ち、輝いていた30年代に、その輝かしさを作り上げていた映画監督、エルンスト・ルビッチの、さらにいうなら、遺作と言われる作品、すでに46年であったが、『小間使』のパロディであり、最後には、その「引用」すらある。


 おおぜいのビッグネームのカメオ出演、ゲスト出演に加え、お歴々をそろえたプロデューサー連は、ひたすら、ボグダノヴィッチというよりは、ルビッチへのオマージュであり、今、アメリカ映画に欠けているものへの猛反省、古き良き30年代へのリターンを願う作品であると見た。


 ことほどさように、本編は、パロディ、引用に溢れている。まず、いきなりの「文字による説明」である。Not long time ago....これは、のっけから、『スター・ウォーズ』の「A Long time ago...』をパロってくれちゃったりしたら、思わず膝を乗り出す。「そんなに昔でない時、(銀河系のはるか彼方でない)となり近所で、こんなことがありました……」


 『小間使』の原題は、その小間使いの名前のCluny Brown である。イギリス貴族の家に転がり込んだチェコから逃れてきた作家が、その家で唯一まともな小間使いのクルーニーと心を通わす。本作では、コールガールのイジーだけがまっとうな心の持ち主である。そのイジーがひょんなことから、女優としてサクセスへの階段を上りはじめる。というか、すでに女優として成功したイジーが、インタビューを受けるという形式で物語は始まる。誰もが隠したい過去を、イジーはあっさりと語る。「実はコールガールをやってました(だって家は貧乏だし……)──」。へんなお客に出会ったのよね。きみみたいな人は初めてだ、きみにプレゼントをしたい、もう二度と恋人以外の人と寝ないと誓ったら、きみに3万ドルあげよう──。そしてイジーは人生を変えようとするが……。舞台女優のオーディションに行った先に、その3万ドルをくれた男がおり、彼は、その舞台の演出家だった──。彼の妻は女優で、舞台の相手役だった──。イジーがカウンセリングに行った先の精神科医は、人の話を聞かない身勝手な女で、そこにまた、イジーの客のジーサン(職業は裁判官)がカウンセリングに行き……、患者の秘密を守れないとんでもない医者ゆえ、じたいはとんでもない方向へ発展していく──。実は、演出家の男は、多くのコールガールに同じようなことをしていた──。それが妻の知るところとなり……。


 舞台といい、雰囲気といい、ドタバタといい、タイトルバックのデザインといい、ウディ・アレンの映画とどこかに似ている。しかし、アレンのように、スノッブではない。つまり、インテリ向きではない。果たして、「おフランス」は評価してくれるか? 笑えるところは各所にあった。しかし、毒はないように思った。他愛ないのがルビッチ流のコメディのようである。


 果たして、このような「付録」の方が多い作品を、どのように評価したらよいのか?


 いかにも「通」の御用達のルビッチであるが、その御威光を借りねば、傑作を作り得ないのか? 


 ボグダノヴィッチ、76歳、ウディ・アレン、80歳。キャリアを並べれば歴然としている。仮に本作が傑作として、アレンに追いつくことはできるのか?


 ……という苦言をあえて呈しつつ、星は五つとしておきます(笑)。


 


↓参考url


 


https://youtu.be/n-bkwRc5bX4?list=PLr7_NUo_pART9VZcQSArgvw2fDYRy6RcE



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