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頽廃についてお話させていただきます [なんとなくエッセイ]

「頽廃についてお話させていただきます」

 

 朝4時過ぎにうちのわんこがお気に入りの樹木が多い公園にいってみると、中年女が、「犬も連れずにひとり」紙パックのジュースにストローをさしたのを手にして、ビニール傘を持って、奥の樹林の方角を見て立っていた。直後、白猫がすばやく通過したところをみると、その猫を見ていたのかもしれない。普通、犬連れでない人にはかかわらないようにしているから、何も言わずに近づくと、その人物が会釈したので、こちらも同じように返す。普通はそれで終わるが、「早いですね」と言葉をかけてきた。犬の散歩はどんな時間でもありうる。しかし、普通の人間が単独で早朝の公園(ベンチがひとつあるだけの傾斜になった樹林)で佇むのもひとにとやかく言われる筋合いはないかも知れない。

 この女は以前にも同時刻か、真夜中かに見かけた記憶がある。その時はものを言わなかった。はじめは、野良猫に餌を持ってくる、猫オバサンかな?と思ったが、そうでもないようだった。

 服装は、短時間に素早く観察したところ、グレーの上着様のものをはおっていたが、中の白いTシャツらしきものは薄汚れたような白で、乳首が浮いて見えていた。

 うちのわん太は、不審な人間がいると気分をそこねてその場ではうんこをしなくなるので、わん太はその人物を怪しみながらUターンした。しかし、そこはお気に入りのうんこ場所なので、数メートル行くとまた引き返した。その時には、すでに女の姿は見えず、「おーっほっほ」という声だけ聞こえ、姿は、樹林に目を凝らしてもまったく見えなかった。道路との境に置いてある石(腰かけにもなる)に、たたんだビニール傘が立てかけてあり、わん太は、しきりに、その傘とそのあたりの地面の臭いを嗅いでいる。あやしい、あやしい、あやしい、という感じである。

 たとえば、夫とケンカしたとかで、ひとりでへんな時間に公園に来てみることもあるだろう。しかし、その女はそんな感じでもなかった。ということは、主婦でも、まともな勤め人でもない感じ。水商売風のおしゃれをしているわけでもない。片手に持った紙パックジュースは、「余裕」である。早朝散歩の人はそこには立ち止まっていないだろう。会釈はしても話しかけないだろう。こちらが、「はい」とか「まあ」とか、テキトーにお茶を濁している間に、その女は、「(犬は)女の子ですか?」「かわいい。毛並みがきれい」と、具体的なセリフを一方的に数回吐いた。

 ウィッチ(魔女)のようなミステリアスな感じは皆無。

 

 せいぜい私が勘ぐることができるのは、その女は、いわゆる「ぱんぱん」。言葉は悪いが、その言葉を急に思わせるほど「地に墜ち」しかも「本人は傍目に、まだ気づかれないと、思い込んでいる」。「ぱんぱん」でなければ、「空き巣狙い」。

 

 大変失礼にあたる感想かもしれないが、印象は瞬時にやってくる。常識の出る幕はない。犬がくんくん怪しむように、まさに、動物的勘でしかない。

 その人物は感じが悪い態度はひとつもなかったが、それゆえ、「こんな時間に見知らぬ人間に愛想よくしてる場合かよ?」という一般人のまともな感覚が欠落している。つまり、おのれの頽廃にまったく気づかないか、あるいは気づいても、もう他の態度はあり得ないといった──。そのような頽廃が、わが国を覆っているようでもある。





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