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『ライフ 』──リアルな科学物(★★★★★) [映画レビュー]

『ライフ』(ダニエル・エスピノーサ監督、2017年、原題『

LIFE)

 

『デンジャラス・ラン』で、CIA捜査官のリアルな内面を描き、ベテランの凄腕(デンゼル・ワシントン)と、新米(ライアン・レイノルズ)の対比を描き、『チャイルド44 森に消えた子供たち』で、ロシアの秘密警察が「まともな警察」へと成長していく姿をじっくり描いた、ダニエル・エスピノーサ監督が、まさかの、「エイリアン猿まね、ドタバタB級宇宙ホラー」映画などを作るわけがない。

 本作は、まぎれもなく、「リアルな」科学モノで、まず、地球外生物の「デザインがだめ」というバカがいたが、あんたねー、「人間」がそのまま存在したとでも思ってるの? 40億年前に、地球がまだ超新星の残骸で、太陽を中心に回転し、鉱物微粒子などと合体して「惑星」の形になった頃、隕石が多量に降って、その隕石のなかに、炭素が含まれていた。またケイ素も含まれていた。この炭素がしだいに「生命」へと変化し、ケイ素は岩石などへと変化していく。地球に「生命」が誕生し得たのは、太陽からの微妙な距離と角度と、自転しているという奇跡的なものだった。一方、昔からSFでは、すぐに火星人が登場する。というのも、火星には、わずかに「空気」が存在すると推定され、地球によく似た環境を持った星だったからだ。今回の映画で、私が考えたのは、そうか、ケイ素(シリコン)が変化すれば、蛸みたいなヒトデみたいな、クリオネみたいな形体なるかもな。そして、希薄な空気のもとで生き延びる条件として、「空気のないところでは冬眠状態」となるのだ。

 舞台は、地球外に作られた国際宇宙ステーションで、このあたりは、むしろSF古典『2001年 宇宙の旅』を思わせる。映画.comだかなんだか、「あらすじ」も「解説」も、違っているし、ズレているのは、関係者各位、本作の「情報」を読み取れなかったのか? これは「極秘の研究」ではなく、「ピルグリム」と名づけられた、全世界の夢を背負った一大プログラムなのだ。ゆえに、全米の小学生の代表が、火星から採取された「生物体」に、「カルビン」と名づけたりする。

 このあたりから、「人間」の思考のマチガイが始まる。AIというものにも、(メディア関係者ですら)大きな誤解がある。というのも、AIはただのプログラムで、成長しているように見えるのは、「選択」がプログラミングされているからだ。AIに感情はない。それと同じように、「生命体」に感情があるとはかぎらない。勝手に、自分たちと同じような生き物と、思い込んだのは大きなマチガイなのだった。

 そういう、ある意味、既視感のある物語に、宇宙ステーションの様子や、そこからの地球の見え方など、かなりリアルと思われる、いや、ほんとうは違うかもしれないが、すばらしく美しい映像を挿入している。

 そして、6人の「宇宙飛行士」と解説では、ざっくり書かれている「研究員」も、ハードなメカニック、医者、生物学者、実験装置のメカニック、汚染管理官、研究者全体を率いるリーダーと、分野が明確になっており、それぞれに職務に忠実であろうとしている。とくに、レベッカ・ファーガソン扮する汚染管理官は、研究室(ラボ)、その続きの準備室、一般居住区と三箇所に区切られている場所の、汚染を避けることを常に配慮している。

 この「生命体」は、結局、人間を食い尽くすものだったので、地球に持ち込まれてはならないのであるが、生き残った二人、ファーガソンと、「無重力滞在が最も長い」医師、ジェイク・ギレンホールが、それを全うしようとする。ステーションには2台のモジュール(小型宇宙船)があり、1台は宇宙の彼方へ、もう1台は地球へ帰還するよう、あらかじめ設定されているのだが、ギレンホールが「生物体」をおびき入れて宇宙へと消えるから、ファーガソンは地球へ帰還する方へ乗るように言う。そして──。そのとおり、宇宙の彼方へ向けて飛んだギレンホールは、「生物体」に侵入され悶え苦しみ、ファーガソンが、地球に向かいながら、できごとの一部始終を報告する……。あ、ここで終わりかと思いきや……。

 モジュールは大気圏を通過、どこかの海に着水。のどかな漁船がそれを見つけ……あ、触るな!扉は灼けるように熱いぞ!と思っていると、いとも簡単に手をかけ、扉をあける──。「あ、だめだ、近づくな!」そこに、「生物体」のたこ足に巻き付かれた……ジェイクがいた……。Chan、chan〜♪

 

 やはり、主役は生き残る(笑)。そして、「生物体」を地球に引き入れてしまった……。題名をなんとかしろって意見もあったな。それは、あんたの頭が汚染されている証拠。これはテーマでもあるんです。ライフ。ライフとはなにか?

 人間だってもとはこんな姿で、40億年かけて、今の姿になったんです。同じだけ時間が流れても、火星にいると、進化のしかたがちがったんです(笑)。

 

 暗転。音楽がよい。どこにも甘さのないクールな曲。




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