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【詩】「鯨」 [詩]

「鯨」

 

ナンタケットと言えば、鯨。鯨を求めて、ここから船出する集積地。そこはきっと鯨の脂にまみれている。『モーヴィー・ディック(白鯨)』(1851年刊)よりはるかに早く、エドガー・アラン・ポーも、この地の名を冠した長編(!)を書いている(「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」(1837年〜38年))。逆に言えば、だからこそ、ナンタケットなどと、すらすら出てくると言える。果たして、何が言いたくて、この詩を書き始めたのか──?

 

海、深い青黒い海、鯨、捕鯨、嵐、凪、幻、食糧不足、餓死、人肉食、海、深い緑の海、鯨油業で成り立っている町……。

 

集合名詞としての鯨。そんな巨大な「サカナ」から、なぜ明かりの材料を取り出そうとしたのか? 

 

そして二人の作家、ハーマン・メルヴィル(1819年〜1891年)と、エドガー・アラン・ポー(1809年〜1849年)は、一個の鯨に注目する。

 

人生という脂にまみれ、創作という幻を見、死へ帰還する。歴史という海は、ようやく動きはじめる。夥しい事象の漂流物の下。

 

鯨よ、鯨よ。私はまだ、その極めて小さな種類のおまえにも、水族館ですら対面できないでいる、保育園の遠足不参加に丸を付けた紙を、通園かばんに入れている園児だ。だがいつか、ナンタケットのはるか沖の大西洋上で、最も巨大なおまえに出会いたいと思っている。

 



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