So-net無料ブログ作成
検索選択

『悪の華』試訳1 [訳詩]

Les Fleurs du Mal 『悪の華』より(試訳)

 

「シカシ飽食トイウワケデハナク」

 

奇妙な女神、夜のように褐色で、

ムスクとハバナ葉巻の入り混じった香水をつけ、

なんらかの帯の作品、サヴァンナのファウスト、

黒檀の脇腹の魔女、真夜中の闇の子、

 

SED NON SATIATA

 

Bizare deite, brune comme les nuits,

Au parfum melange de musc et de havane,

Oeuvre de quelque obi, le Faust de la savane,

Sorciere au flanc d'ebene, enfant des noirs minuits,

 

(つづく)

 

*****

堀口大學訳(新潮文庫)

 

「それでも足りない」

 

夜のように鳶色で、麝香と葉巻の混じり合った

かおりを立てる風変わりな女神よ、そんじょそこらの黒人の

魔法使いの手に成った大草原のファウストよ、

黒檀の脇腹をした魔女よ、暗い夜更が生んだ子よ、

 

(私的感想:訳しすぎのような……)

 

****

鈴木信太郎訳(岩波文庫)

 

「されど飽足らずして」

 

夜のやうに栗色で、麝香と葉巻の

混淆した薫を放つ、奇妙な女神よ、

大草原のファウスト博士の黒坊(くろんぼう("ママ"引用者(笑))魔法使の作品よ、

黒檀の腹をもつ魔女、暗黒の真夜中の子よ、

 

(私的感想:なんとか日本語文脈に変換しようとしている)

 

****

 

安藤元雄訳(集英社文庫)

 

「まだ飽きもせず」

 

奇態な女神よ、夜のように色浅黒く、

麝香とハバナのいりまじった香りも高く、

どこかの魔術師、草原のファウスト博士が生み出した、

黒檀の脇腹をもつ魔女、真暗な真夜中の子よ、

 

(私的感想:全体として、「既訳」に遵守している。それにしても、みなさん、des noirs minuits の語順を勝手に変えているんですね)

 

****

 

福永武彦訳(単行本『世界名詩集13「ボードレール 悪の華」平凡社)

 

「サレドナオ足リズ」

 

不思議な女神よ、夜のように栗色で、

麝香とハバナ煙草との匂いを混ぜ、

大草原のファウスト、黒人魔術師の製作品、

黒檀の脇腹をした魔女、闇々の深夜の子よ、

 

(私的感想:リズムは原文にいちばん近い)

 

****

 

私的註:この作品は、4,4,3,3 のソネットである。quelque obi は意味不明であるが、みなさん、obi を「魔術師」と訳しているが、あるいは、そういう意味があるのかも知れないが、自分は無知である。ロワイヤル大辞典を引けば、obi、帯とある。tatami、kimono などのようにフランス語化された日本語のようである。おそらく柔道の、「帯」から来たのだろうと思われる。

 

自分の「有利な点」(?)は、しゃがれ声のミシェル・ピコリの朗読をiPod で毎日聴いていることである。このさりげない、短い文を連ねていくリズムの音を聴いていると、とても、長々と、いかにも美文調には訳せない。

 

 

 


nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感
メッセージを送る